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イージスとは何のことですか 寺嶋真一    2002/12/05

 

イージス艦とは、何ですか。駆逐艦 (destroyer) のことでしょう。護衛艦 (destroyer) とは何ですか。国際的には、これも駆逐艦でしょう。派遣する護衛艦をイージス艦に替えることは、それほど難しいことですか。それは、性能が優れているからですか。相手に強大な軍備を見せ付けて、戦いを諦めさせるのが最良の策である。平和国家は、まず戦わずして勝つことを考えなくてはならない。相手に、抗戦の選択肢のないことを十分に悟らせる必要がある。その為の手立ては、怠ることができない。

英語では、出来るだけ相手に誤解されないように単語選びをする。それが、彼らの国語の勉強である。イージスでは、何のことか分らない。戦車なら分るが、特車では分らないようなものか。日本人の言葉選びは、雰囲気選びになっている。風流というのか、正確な意味の伝達を無視した自分勝手な解釈になっている。英米人の単語選びは、相手の誤解を避ける為の作業となっている。彼らの行動も、そうなっている。雰囲気をかもし出すことに熱中していたのでは、現実を支配することはできない。そこで、我々は英米人にやられることになる。

481 文字

 

 

天下とり  寺嶋真一    2002/12/04

 

民主党は12月3日の常任幹事会で、野党結集準備委員会の新設と自由党との連携強化の方針を打ち出した。だれが後継となっても、新代表は就任早々、野党結集についての対応が必要となる。この国には、国の「あるべき姿」を語るものが居ない。「あるべき姿」は無い事、「今ある姿」は有る事。「あるべき姿」と「今ある姿」では内容の次元が違う。有る事と無い事は、別次元の構文により表現されなくてはならない。それを一緒くたにして話すと話が混乱する。次元が合わなくて、話が合わない。それで、話にならない。天下とりの話は、「今ある姿」に関係した話であるから、その内容にいつもながら身が入る。そこで、話は、天下とりの内容に摩り替えられる。

303 文字  

 

 

戦わずして勝て 寺嶋真一    2002/11/25

 

北朝鮮は「5人を戻さないのは約束違反」と強く反発している。両国で11月内開催で合意した安保協議についても「日本が約束違反をするなら無期延期」を主張している。ミサイル発射凍結の見直しの可能性にも言及するなど、強硬姿勢を見せている。相手には、リーズン (理性・理由) などないのであるから、丁重にとりなす必要などは何処にもない。粘り強く交渉するなど、無意味な時間の浪費である。餓死者はそれだけ多くなる。アメリカは、相手に圧倒的な軍事力を見せ付けて、戦わずして勝つべきである。強大な軍備は、そのために用意されたものである。全ては、金正日の決断にかかっている。重圧をかけて彼の決断を促すとよい。これまでも、英米はこの強圧の方法でやって来た。そして、世界を彼らの支配の下において来た。

335 文字 

 

 

日本人には、なぜ意見がないか              寺嶋真一(琉球大学) terasima@med.u-ryukyu.ac.jp                      20021116

 

日本語には、時制が無い。だから、唯一の文章構文を持っている。

この唯一の文章構文は、目の前にあることを述べるために使われている。

目の前にあることと、ないことを一緒に混ぜて述べると、話が混乱して聞き手の理解が得られない。

であるから、「あること・ないことの話」は日本人に敬遠されている。

内容の混乱した話は、外国人にも敬遠される。それは、話にならないからである。

 

個人の意見は、その人の考えた「あるべき姿」である。

目の前にあることを言い表せば、それは実況放送・現場報告となって個人の意見とはならない。

「あるべき姿」は、目の前にないことが多い。

だから、大人には、自らの「あるべき姿」を形成するための過程が必要になる。

これが、英米人の高等教育に相当する。

目の前にないことを言い表す文章構文は、日本語にはない。

だから、日本人には意見がない。詰め込み教育は避けられない。子供勉強を続けることになる。そして、英米流の高等教育は崩壊する。

実況放送・現場報告に意味を持たせる為に、英米人は自分自身の哲学、即ち「あるべき姿」を引用する。これを論拠 (basis) という。

「あるべき姿」を基準にとって、現実を批判する。彼らの批判には、reason (理性・理由) があるので、その判断はreasonable (適当) となり得る。これを理性判断 (rational judgment) という。だから、英米人は、理性的な市民になる。

実況放送・現場報告に意味を持たせる為に、日本人は感情表現を使う。「だって、本当にそう思ったのだから、仕方が無いではないか」と言い訳する。これは歌詠みである。説明責任はとることができない。だから、日本人は、理性のない感情的な民族なのである。

713 文字 この文章は「高等教育フォーラム」に投稿されたものです。

 

 

中教審のこと   寺嶋真一(琉球大学) terasima@med.u-ryukyu.ac.jp        20021116

 

中央教育審議会(鳥居泰彦会長)は11月14日、同法の全面改正を求める中間報告を遠山敦子文部科学相に提出した。

 

この報告は現代の我が国の社会を批判しているが、実は日本語・日本人に関する批判と考えることができる。

 

「自由と責任」については、日本人の場合には、意思の自由にあらずして、恣意の自由になる。意思があれば説明責任 (accountability) はとれるが、恣意ではとれない。とかく、この世は無責任となる。

日本語には、時制がない。意思(will)は、未来構文の内容である。文章構文がない場合には、個々の単語はばらばらのまま存在し、小言・片言、和歌・俳句となる。ばらばらの単語により表されるものは、恣意(私意・我儘・身勝手)である。このような状態は、言語の未発達な子供の状態である。

現実形(現在形)では、その内容に個人差は出ない。だが、未来形なら、個性が出る。

その内容に貴重な意味が存在する。だから、個人主義の存在も可能になる。

「権利と義務」については、日本人の場合には、権利は私利、義務は義理である。英米人の求めている「あるべき姿」とは無縁な考えである。義理は、伝統的な序列観念で、日本語の階称「言葉遣い」に基いている。だから、日本人の頭の中では、権利と義務は対をなさない。

「個と公」については、「公」の対立概念は「私」である。個人は、公においても私においても生活の中心でなくてはならない。

実況放送・現状報告の発言しかない人間には個性が見られず、個人という言葉は行きどころが無い。我が国においては、個人選びを通して公人の指導者を選出する段階で問題が発生する。それは、個人主義 (individualism) と利己主義 (egotism) の見分けが困難なことによる。

英語の概念は、日本語においてはバランスが欠如したものになる。が、これは、当然ともいえる現象である。

「倫理観」について、個人が軽視されている社会では、個人の倫理観は育たず、人々は形式主義に陥っている。

 

現行法の中の「個人の尊厳」について、個人主義の理解が得られない社会には、個人の尊厳は得られない。人間は、単なるモノとして取り扱われている。

「真理と平和」について、真理は「あるべき姿」(things-as-they-should-be) 即ち哲学の中にあり、「今ある姿」(things-as-they-are) における「嘘、本当」の中にはない。平和は、単に争いのない状態を意味するものではなく、個人が「あるべき姿」の中において生活することである。

 

国を愛する心は、個人意見の尊重を通して行なわれるべきものである。他人の号令の下に行なわれる筋のものではない。

国づくりに参加する態度の養成は、個人意見を尊重することにより達成されなくてはならない。意思のない個人は、とかく、受身形の態度をとりがちである。

道徳心や伝統・文化の尊重も、個人の価値観・意見を尊重することにより達成されなくてはならない。

1220 文字 この文章は「高等教育フォーラム」に投稿されたものです。

 

 

日本人の先行き              寺嶋真一    2002/11/13

 

米国務省の情報調査局が20029月末に「日本のナショナリズムとアイデンティティに関する会議」をテーマに研究会を開催した。彼らには、迷走する日本人の先行きが見えない。我々に必要なものは理性判断である。感情理論では、真珠湾奇襲も原爆投下も避けることはできない。即ち、過ちは繰り返す。歌詠みたちには、この地球を動かす力はない。

私も妻も、あの原爆投下で自分の命が救われたと考えている。投下した時に死ぬべき人の数、投下しなかった時に死ぬべき人の数。来るべき現実をまともに考えることの出来ない人たち。「理屈を言うな」「現実は、決してそんなものではない」。現実を離れているから意味のある声もある。現実を離れていないから意味の無い声もある。圧倒的な武力を背景にして圧力をかけるしかない。かくして、この地球は徐々にではあるが英米の世になって行く。

365 文字 

 

 

努力の違い       寺嶋真一    2002/11/11

 

英米人は、「あるべき姿」を基にして、現実をどのように操作したら良いかを考えている。

日本人は、「今ある姿」を基にして、現実をどのように操作したら良いかを考えている。

だから、日本人の考えは、英米人に比べて近視眼的である。日本人の努力した結果は迷走しやすい。

未来形の内容「あるべき姿」と現実形の内容「今ある姿」では、議論がかみ合わない。だから、「東は東、西は西」となる。

182 文字

 

 

変革の時           寺嶋真一    2002/10/28

 

10月27日に投票が行なわれた衆参統一補選は、与党3党が5勝2敗の成績を収めて勝利した。「政治とカネ」の不祥事や「保守分裂」の影響など現況が焦点であっては、野党に勝ち目は無い。変革された未来の内容を熱っぽく語ることができれば、有権者はついてくる。

123 文字  

 

 

英語習得のすすめ         寺嶋眞一(琉球大学) terasima@med.u-ryukyu.ac.jp        20021027

 

日本語には、時制がない。実況放送型・現場報告型の文法を持つ日本語を使用していては、学問はできない。過去と未来の内容が抜けていて、温故知新が成り立たないからである。英語の強みは、未来形の「あるべき姿」を使って、現在形と過去形の現実「今ある姿」を批判できることにある。さすれば、改革の方向も把握できる。我々は、温故知新の手法を獲得する為に、英語の習得を心がけなければならない。

186 文字  この文章は「高等教育フォーラム」に投稿されたものです。

 

 

無為無策の人   寺嶋真一    2002/10/26

 

「これまで小泉首相が十分な経済対策をとっていないと批判しておいて、いざ竹中氏が首相の指示通りにやろうとすると、やりすぎだと批判するのは少し奇妙だ」と米国務省当局者は10月24日、不良債権処理の加速を掲げる竹中金融相への批判が与党内部から高まっていることについて、竹中氏への支持を改めて表明した。「ああしてこうすりゃこうなると、わかっていながらこうなった私、、、、、」という歌があるが、実況放送型の報告は実に忙しい。「ああすりゃあ、こうなる」「こうすりゃあ、ああなる」という人は多いが、「では、一体どうすりゃよいのか」という質問には答えの出ない人が多い。「意思のあるところに、方法がある」(Where there is a will, there is a way.) という格言があるが、意思薄弱では、無為無策の人と考えるよりほかない。だから、民主的に責任者として選ばれた人は、必ず自説に従って実行しなければならない。

400 文字 


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